【ルーツVol.6】職業:会社経営者 東 智美

By | 2017年6月8日

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東京・乃木坂にて株式会社トーモを経営しておられる東さん。iPhoneケースの「RAKUNI」やモバイルバッテリー「cheero」をプロデュースされるなど、ガジェット業界における、まさに新進気鋭の女性経営者です。共通の知人から紹介されたのはかれこれ6〜7年前のこと。今回改めて、膝付き合わせながらお話を伺ってみました。




流れに逆らわず、辿り着いたWEBの世界。

・松本

もともと、東さんはWEBのデザイナーだったんですよね?
学生時代からWEBの勉強をされていたんですか?

・東
そうなんです。でもね、「めっちゃWEBの仕事がやりたかった!」とかでは無いんです。
短大卒業間近に、進路を考えてたら父が「コンピューター系を学ぶなら支援する」と言ってくれて。
それがキッカケで、大阪デザイン専門学校のマルチメディア科の1期生になったんです。
当時、マルチメディアっていう言葉が生まれて、流行り始めた時だったんですよ。
Macromediaの製品とか、Adobe Directorとか、Adobe Dreamweaverとか、Adobe Fireworksとかがちょうど生まれた頃。

・松本
20年くらい前ですよね。

・東
そう、ちょうどそのくらい前。BBSとか、チャットのシステムが盛り上がり始めた頃です。
今もお付き合いある方なんですけど、ブイロジックの岡村さんが、私の通っていた大阪デザイン専門学校の臨時講師に何度か来てくださってて。「何でもいいからアルバイトしたい。」って直接お願いしてみたんです。アルバイトでは初期のHTML組んだりさせていただいてました。それがWEBの世界で働いた最初のお仕事ですね。

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・松本
東さんってWEB関係の方にとてもお顔が広いですよね?いまもおつきあいがある方々は当時からのお知り合いですか?

・東
ほとんどそうですね。岡村さんが当時、大阪の天六にあった「ディーボックス」っていう、阪急が主催するインキュベーション施設とか、いろんなところに連れて行ってくださって。
昔からITの制作分野にいらっしゃる、笠居 トシヒロ先生や、魚井先生、AUGM(※)の方々とか、すごい方々が集まっているエリアのパーティーにも参加させていただいたんです。そうこうするうちに、最初就職したWEB制作会社の社長からもかわいがってもらって、「じゃあうちで働く?」と。
けっこう流されてるんです(笑。

・松本
笑)でも流されている、というより、流れに逆らってないという印象です。

・東
そうですか?(笑。
すごくHTMLが好き、とかでは全然無かったし、むしろあまり好きじゃない方で…。
就職したWEB制作のプロダクションで最初は、デザインやディレクションをやってました。トータルで22歳から2年半くらい、その仕事をしたのかな?25歳でフリーランスになったんです。
そこから4〜5年くらい、フリーランスのWEBデザイナーとして大阪で活動してました。

・松本
東京でもフリーランスとして?

・東
はい。フリーランスとして、某制作プロダクションのお仕事をメインで受けたり、某ブライダル関連の会社で社内クリエイティブ部門の仕事を受けたり。1度社員としてもお誘いを受けて、WEB部門のマネジメントをしたり、ディレクションしたり、たまに自分でデザインなんかもしてました。
それが34歳くらいまでかな。そこから独立して株式会社トーモを創ったんです。今8期目になりますが、株式会社トーモのスタートはWEBの制作会社だったんです。
※)「Apple Users Groupe Meeting」:各地域ごとにあるAppleユーザーのグループ。定期的にそれぞれの地域で集まり情報交換など開催

マーケットが裸で見える物販の世界。
面白くって、魅力的だった。

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・松本
大阪・北浜にあるお父様の会社、ティ・アール・エイ株式会社では、モバイルバッテリーを製造・販売されていらっしゃって、東さんはその事業にも携わっていらっしゃいますよね。
やはりあのお仕事がきっかけで、物販にご興味をもたれたんですか?

・東
まさしく。
当時「cheero」というモバイルバッテリー事業を、父の会社の一部門として立ち上げることになって、一部製品の企画や営業、広報なども担当していたんですよね。

・松本
お父様のお仕事を間近で見ていて、「あぁ、物販って面白いな」と思ったポイントって、どこでしたか?
今までやっていたWEBとは、収益体制もなにもかも、全然違うじゃないですか。
どこが魅力だなって思ったのかなーと。

・東
WEB制作って、あくまでもB to Bか、B to B to Cじゃないですか。
なので割と、1対1の関係性の中で完結していく仕事が多いでしょう。
なので、B to B to Cとかになると、もうコンシューマーの反応っていうのが分かんないんですよね。
モノ売りっていうのは、ダイレクトにコンシューマーの反応が分かる。すごく売れたら、コンシューマーにとって喜ばしいものだとわかるし、売れなかったら興味のないものなんだってすぐに結果が出る。
マーケットが裸で見えるっていうところが、すごく面白いなって思いました。

・松本
なるほどー。
確かにその感覚は、私もB to Bか、B to B to Cの仕事が多いのでよく理解出来ます。面白そうですね。羨ましいなあ…。

・東
ほんとに、面白いですね。
もうひとつ面白かったのは、“ブランドが成長していくってこういうことなんだ”っていうのをリアルに体験できたこと。大阪にある無名の会社がインターネットを通じて、知名度をどんどん上げていって、いろんな人に知られるメーカーになっていく…、っていう過程のど真ん中にいた経験は非常に大きいです。
こんな機会って、あんまりないと思うんですね。

・松本
うんうん。普通はみんな体験したくてもなかなか出来ないですもんね…。

ブランド1年目は鳴かず飛ばず。
急成長の鍵は「ひらめき」

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・松本
これまでを振り返ってみて「ブランドを成長させたキッカケ」だと感じている出来事ってありますか?

・東
いくつかきっかけになった出来事はあるんですが、一番最初のキッカケになったのは、「大容量バッテリー」の販売。これは父が考えた戦略で10000mAという大容量バッテリーの初期モデルを、マーケットに低価格で投入したんです。その時アマゾンの部門ランキング1位を取って。それがきっかけで急速に売れるようになりました。

・松本
ほー!どのくらいのペースで売れるようになりました?

・東
ほぼ“倍々ゲーム”です。
一日の注文が十数個だったものが100になり、200になり…という具合。そうなると仕事の内容も変わるじゃないですか。ちょこちょこと入ってくる注文を、通常業務の間に順次発送していたのに、そんなペースじゃマニアあわなくなって社長もスタッフもみんなで一日中、袋詰めしてるっていう…(笑)。たまに大阪の本社に訪れると、会社全体の仕事がほぼ止まってました。

(両笑い)

段ボールに山のように発送品があって、毎日毎日運送会社が取りに来る。一時期、倍々ゲームで増えていった頃の社内はこんな状況でした。
ある時を境にAmazonのFBA(倉庫および発送サービス)を使うことによって、これらの問題はクリアしたんですけど。

・松本
その状況に辿り着くのにどれくらいかかりました?

・東
そうですね、新事業を立ち上げて1年くらいかな…。最初の1年は鳴かず飛ばずだったんです。2年目で大容量を安く出した時に、だんだん売れるようになって。売れていく様を見ていて「ああ、コンシューマーにとって必要なモノだったんだなー」って。リアルに肌で感じられることは面白いなあ、って感じてました。

・松本
そのほかに成長のキッカケになった出来事ってありました?

・東
「ダンボーバッテリー」ですかねー。

・松本
あれはめちゃ可愛いですよね!アイデアは、東さんですか?

・東
そうですね。「ダンボー」を製作しているよつばスタジオさんは、特に人脈などもなかったんですけど、自分たちで調べてオファーしました。

・松本
なんで、「ダンボー」がいい!と思ったんですか?

・東
ある会社へ商談にいったらオフィスに置いてあったんです、「ダンボー」が。
それみてて「これがバッテリーになったら可愛いなー」って、シンプルに思っただけです。

・松本
すごい偶然。でもよくそこで、商品化のアイデアがひらめきますね?
いつも何かを見つけよう、と気をつけてるんですか?
それとも勝手にイメージが入ってくる?

・東
あー、勝手に…。昔からそうなんです。

・松本
天才肌ですね…。私、イメージとかがビジュアルで降りて来ない派なんです。

・東
いやもうね、いきあたりばったりなんで…

(両笑)

※)http://store428d.com/

コンセプトを作るのがすき。

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・松本
物販の面白さを体験した最初の商品は、バッテリーでしたよね?
ただ、いまご自分では「RAKUNI」でiPhoneケースを扱われているでしょ?
こっちのジャンル、つまり雑貨系で勝負しようと思った、キッカケはあったんですか?

・東
そもそも私はエンジニアじゃないんで、バッテリーのようなエンジニアリングに対して、そこまで知識が深くないですからね。しかも私自身、女性でもあるのでシンプルに雑貨とかが好きなんですよ。
でも父の事業方針としては、雑貨っぽいもの、デザインものに関しては注力しない、というスタンスだったので、自然にこのジャンルには自分の会社でとりくんでみようかな、と思ったんです。

・松本
雑貨を作るノウハウはどこで学んだんです?

・東
1度、「cheero」から手帳型の革ケースを出したこともあってね。
そのケースを作ったことを機に、何年間かトルコの革会社とお付き合いがあったんです。
ちっちゃな案件をいくつかやってるうちに、何となく作れるかもっていうのが見えてきた。
ただ、ふつうの手帳型のケースを作ってもあんまり意味無いじゃないですか。

・松本
うんうん。もうある程度、既製品もいっぱいあるし。

・東
手帳型ケースだったら、もうやるつもりなかったんですけど、その裏側にポケットをつけるっていうアイデアが社内で固まってきたので、これだったら戦えるかもしれないと。

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※「RAKUNI」内側|ポケットがたくさん付いていて便利!
・松本
ここまでお話聞いててね、私やっぱり、東さんの「スピード感」が好きなんだなあ、としみじみ思ってるんです。
WEBからcheero、cheeroからRAKUNI…。
なんというか、私の周りをぐるりと見渡したとき、東さんだけ速度が違う気がするんですよ。
「あれ?もうそんなとこ行っちゃってる?」みたいな感がすごくあって。

・東
飽きるのも早い…(笑)

・松本
笑)
なにがモチベーションになってます?

・東
あー、何だろうなあ…。
なんかね、今、この場にない価値観、みたいなもの、
つまりコンセプトを作っていくのが好きなんだと思います。
「cheero」も「RAKUNI」もトーモも、名前から考えたんですけど、たぶん、コンセプトメイキングが好きなのかな?

・松本
コンセプトを作る、かあ。
私、すごく好きです、東さんが作ってる名前たち。どれも万人に分かりやすいし、しかも可愛い。

・東
ありがとうございます(笑
あと、なるべく造語で、ドメイン取りやすいようにするとか。
でも基本的には自分の大切にしたいコンセプトを名前にしてるかな。

・松本
「RAKUNI」で大切にしたかったことってなんですか?

・東
いかに荷物を減らすか…、ですね。
とにかくiPhoneだけで行動したい、荷物を減らしたい、って思いがずっとあって。ほんとに、荷物嫌いなんですよ。
例えば、お財布。持たないんです、基本的に。全部ポケットにじゃらじゃらと入れてて。
昔からカバンも持つの嫌なんで、ひどい時はコンビニの袋にモノ入れて出かけたり…。

・松本
え?(笑
でもいつも綺麗にワンピース着てらっしゃるじゃないですか。

・東
いや、ワンピース、かぶるだけじゃないですか!いちばん楽な服なんで。
コーディネートもしなくていいし、1枚で済むし(笑)

・松本
なるほど!!! そこかー。
てっきりおしゃれ好きなんだとばっかり…

・東
大事なのはおしゃれってことじゃなくて、ワンピース=楽だからっていう選択…。もうとにかく「煩わしいのが嫌い!っていう思いが昔からある。
だから「RAKUNI」っていうブランド名も、その発想がベースにあるんですよ。「RAKUNI」さえあれば外出できる。
幸いApple Payが実装されたりとか、これ1台でいろんなことが出来るようになってきたので、より価値は増してると思います。

・松本
へえー!!
いやー、やっぱり自分のストレスを解決するとか、自分が欲しいものをカタチにする、ってスゴく大事ですね。

実は、正気の沙汰じゃないといわれてた

※ここで、パートナーのおおつね氏登場

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・松本
東さんってどんな人ですか?

・おおつね
悪い風に言うんだったら、客観視が出来てないっていう。
でも、ある意味それは、自分がいいと思ったらいい、っていうことでもある。
まあ、普通このご時世に、iPhoneケースつくらねーだろって思うでしょ。

・東
ああ、そうそう。直接的に批判や忠告をされたワケじゃないんですけどね、当時は周囲の反応もあまり芳しく無かったんです。
「RAKUNI」発売当時はちょうど、ケース業界で倒産してる会社がいっぱいあって。なおかつ、出したのが5月末で、もう次のiPhoneが出る直前。みんな業界の人達は、そのタイミングでの参入にびっくりしてたみたいで。

・松本
へえー、そうなんですね。でも売れましたよね?

・東
はい。メディアに取り上げていただいて、とても好意的に書いてくれたのが大きな要因ではあるんですけど。
いざ発売してみたら結構売れたことで、目立った名前になりました。

・松本
以前、個人的にお話しした時、小さい企業がものを売るなら、「商品が良いこと」と、「売り方」が大事だっておっしゃってましたよね。まさにそれですよね。PRがきちんとできた。

・東
そうですね。
最初のスタートダッシュは、みなさんに応援していただいてホントにありがたかった。
でも一部の関係者にのちのち「僕、あの時の東さん、正気の沙汰じゃないと思ってました。」と直接言われて、ああそうだったんだって(笑
でももし当時に、周りの本音が私の耳に届いてたら、もしかしたら気持ちが弱ってたかも知れない。逆に、全然聞こえてなかったので作れたかな、と思います。

 

シンプルに「やってみたい」という
気持ちで動いている。

・松本
周囲の声が聞こえなかったから行動出来た、っていうお気持ち、スゴくわかります。聞こえてたら、持ち前のスピードが鈍っていたかもしれないですよね。

・東
そうですね。というか、スピードあるかなあ、私。
いやー、スピードは無い方じゃないかなあ…。

・松本
横で見ててどうですか?(おおつね氏へ)

・おおつね
せっかちなんじゃないですか?自分では普通、なんでしょ?
客観的には、せっかちだから。客観視は苦手なんでしょ。

・東
たぶん、面白い商品見たら、後先考えずに買う、テレビショッピングみたいなマインドに近いような気がする。

・松本
それどういうことですか?(笑)

・東
テレビショッピングって、ふつうの人だったらちょっと立ち止まって、デメリットとかいろいろ考えるじゃないですか。
私そこは全然考えずに、「え!これ何?新しい!」「え!欲しい欲しい!」みたいな感じでオーダーしちゃう。RAKUNIもそのノリ。「やってみたい!」と。あ、これ、父の血なんですよ。

・松本
ほう!

・おおつね
やってみたかった。

・東
そう、やってみたかった。あ、それやわ、「やってみたい」で動いてるな、私。

・松本
なるほど…シンプル!
「やってみたい」で動いた結果、これは成功したなあって、思えるNo1はどの事業です?

・東
大成功の企画は「ダンボーバッテリー」?
マーケットへのインパクトが大きかったですね。業界のスタンダードを変えたっていう。でも、そういう意味での大成功って「ダンボーバッテリー」だけかなあ…。

・おおつね
知名度も何もかもアップ。モバイルバッテリーの流れは変わったし。

・松本
売上高がいいだけじゃなくて、業界のそもそもの流れを変えたっていうのがすごいですよね…。しかも失敗もないところがスゴい…。

・東
めっちゃ失敗はしてないです。
そもそも開発途中で「これ売れないんじゃないの?」とか、ちょっと違和感感じたら、スッとやめてしまうから
自分がどうしても使いたいものじゃ無かったら、売れないだろうって思ってる。
ここもシンプル。「RAKUNI」は使いたくてやってるし。

・松本
自分が使いたいから、そもそも荷物持ちたくないから「RAKUNI」…。

・東
そうです、そうです。

・松本
「楽になりたい」っていうコンセプトで作ったのに、東さんが楽にならない、使いたくないアイテムなら、そもそも成り立ってないですものね。

・東
すごい大きな会社だったら、マーケティングデータから確度の高いモノ抽出して、たくさん作って、バーンってマーケットに放り込んで、売れないやつは切って、売れてるやつを残してって、っていう戦略をとったらいいと思うんですけど。小さな会社はそんな風にはできない。よそがやってないことをやらないと、生き残れないんでね。

・松本
「やりたい」を追求するって至極シンプル。でも一番大事な気がしますね。

 

昔からの仲間がいなければ、
いまの自分はいないかも

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・松本
今までで、一番のキーパーソンだったなって思う人って誰です?1人だけ挙げるとしたら?

・東
父以外で挙げるなら…
こういうガジェット業界に入ったキーパーソンは、Macお宝鑑定団のダンボさんかな。ブロガーさんです。
もう、25年くらい、Appleのことを毎日何本も記事書いていらっしゃいます。

・松本
え!毎日何本も!?

・東
そう。記憶力が死ぬほど良くていらっしゃって、データにもとてもお強くて。
なによりAppleがすごい好きな方。なので、Appleに関連することで頑張る人をすごく応援してくださるんです。
ダンボさんが、私が上京するタイミングで、ほんとにいろんな所に連れて行ってくれて、いろんな人紹介してくれて。AUGMにも呼んでくれて…。
ダンボさんとの出会いが無かったら、「cheero」を売るきっかけも無かったと思います。

・松本
ダンボさんとの出逢いはどの時代に?

・東
私が27の時。WEBディレクター時代ですね。
当時、Appleの心斎橋店がオープンしたのを機に、ダンボさんほかAUGMの人たちが、大阪にいらっしゃったことがあるんですよ。オープニングイベントなんかを楽しむために。そのタイミングで知りあったんです。
ダンボさんのmixiに、「もし、オフ会されるんなら参加したいです。」ってコメントしたら、「言いだしっぺが幹事しろ」って返信が(笑。
まだその時、誰一人知りあいがいなかったんですけど、60~70人くらいの飲み会の幹事、したんですよ。

・松本
え!!
60人とか70人とかそんな大規模の??

・東
そう。でも私が誰一人知らないんで、ダンボさんがヘルプを出してくださって。AUGMの人とも繋いでくださったし、みんなに助けてもらって、幹事できたんです。
それがご縁で、AUGMの人達とも知り合えたし、今でも仲良くさせていただいてます。
さらにAUGMの人達だけではなくて、天六のディーボックスで集っていた方々もいっぱいいらっしゃってて「あれ、なんで東くんがここにいるの?」みたいに、ディーボックス、AUGM、それまで私がお世話になっていた人たちの輪が、ここで一気にガシャンと繋がったんです。

・松本
へえー!その方々が「cheero」や「RAKUNI」を広めてくださった?

・東
それは大きいと思います。もともと私の出身がWEBなんで、みんなの受け入れ態勢も、自分たちとの同じ仲間が新商品出した、みたいな感じであたたかく受け入れてくださって。東京でWEBデザイナーのフリーランスとして初めて活動した時も、それまでのおつきあいが下地にあったので、スッとWEBの世界に入れたんですよね。

・松本
なるほどー。そこが有る・無しで全然違いますね。

・東
はい、きっと全然違ってましたね。ガジェットを扱いだした瞬間は、本当にみなさんに支えられたし、応援していただいた。
ダンボさんが広げてくれた世界から、自分でさらに開拓しているうちに、気づいたらすごく業界のお友達が増えていたっていう感じです。
ダンボさんがいなかったら、今は無いかなあって、ホントに思っています。
だから今、ある程度自分にいろんなネットワークが増えてきたので、
今度は還元しようかな、できたらいいな、と思っています。
自分がこれまで仲間に貰った分を、周りに多少なりお返ししたり、繋いだりしていきたいですね。

 

好きな人と好きなことをする。
そして好きな人と一緒に死ぬ、
そんな人生にしたい。

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・松本
言葉にするのちょっとこそばゆいかもしれないですけど、
どんな人生にしたいですか?

・東
どんな人生?うーん…。
自分の好きな人たちと楽しく生きて、最後「ああ楽しかった」って言いながら、(おおつねさんを指差しながら)一緒に死ぬ、みたいな…。
やりたいことは出来るだけのお金は欲しいけど、別にお金を儲けたいとかではなくて、やりたい時にストッパーにならないくらいの稼ぎがあって、自分の取り巻く周りの人達も還元できるくらいの懐があって、目の届く範囲ではみんなちゃんと生きてるな、って認識できる状況で、私は私で好きなことして…。最後「はあ、楽しかったなあ」と言いながら死ぬ、みたいな感じがいいです。

・松本
好きなことして、好きな人と死ぬ。いいなー、いいなー。
東さんの発想とかスタンスとか、やっぱり好きです。

大きなお世話かもしれないんですけどね、私、同じ女性たちに東さんのことを勝手にお知らせしたいと思っていて。
「こんなに伸び伸びと働いて、面白いことしている人がいるんだよ、見て見て!」って。
特に「起業」とかいうワードに興味ある人に伝えたい。

・東
起業した頃って、何もわからないんでわたしも女性経営者とかが集まる会には、参加してたんですよ。
でもそういう拠り所に参加するのって、実は非常に消極的な考え方で、そこから得られるモノって、実はあまりないって思ってる人なんです。
ただ起業して右も左も分からない時に、そういう集まりがあると、非常に勇気づけられると言うか、「お互い頑張ろうね」って支えあえる効果もある。なので一概に意味が無いとも言いません。ただ、そういう類いの集いには例えば半年だけ参加させてもらって、卒業していくっていうスタイルが、良い参加の仕方じゃないかな、って。

・松本
変に長居しても、何も得られない、と。人脈というか、おつきあいを広げるのは大事なんですが、ひとつ間違うと馴れ合いになりそうですよね。
でも、本当はただ自分の行きたい方向に、うまく進めないだけで、とりあえず人と繋がっとこか、みたいな人も多いと思う。

・東
最初はどんどん参加した方がいいと思いますよ、片っ端からね。参加して、合う・合わないを、自分の気持ちがいいか悪いかで判断していくことが大事かな。心が気持ち良くないものは参加するの辞めて、ね?気持ちの流れに逆らわずに。

一番マズいと思うのは、「ここにいたら、おいしいことが有るかも知れない」っていう気持ち。それが一番まずくって、雑念のかたまりでしかない。そう思ってる間はおいしいことはぜったい降りて来ない。20代とかにやるじゃないですか、そういう交流会への参加の仕方。

・松本
めっちゃわかります、それ。めっちゃわかります(笑。年を重ねていくぶん、若い頃との動き方も変わってしかりですよね。
あー、やっぱり面白かったです。また東さんに会いにきたいです。

・東
ありがとうございます(笑。




編集後記

新しいことを始めるのって、年を重ねれば重ねるほど、いやはや難しいなあと、思うんです。確かにね、「新しいことを始めるのに、年齢なんて関係ない!」ってよく言いますけど、いざそれが自分の仕事だったり、生活に影響したりすることなら、なかなか腰が重くなりがち。社会的にベテランになればなるほど、大半の人は今まで築き上げた経験という「財産」で、乗り切りたいんじゃないかなーと思うんです。
もちろん、ひとつの世界でまっとうするのが悪、と言いたいのではなく。「新しい世界に行きたい!」と思う気持ちと、「現状の世界で無難に過ごしたい」と思う気持ち。このふたつが自分の中にある時、さあどっちを選ぶ?というお話です。

WEBの世界から物販の世界へいった東さん。「なんで新しい世界にいったんだろう?」「どうしていけたんだろう?」「なんでそんなに速いんだろう?」ずっとずっと気になっていたので今回、インタビューさせていただきました。その答えは冒頭の見出しにもした「逆らわない」という、彼女のスタイルにあったのかな、と思っています。
「やりたい!」と思う気持ちに逆らわない東さんに、私は俄然憧れます。もちろん年を重ねて、やりたい気持ちを優先出来るだけの、経験も知識もブレーンも兼ね備えた「行動力」があるからなんだけど。
それでもやっぱり「わーい!やりたい!」とニコニコして言える人って、絶対いい。だってどれだけの大人が、自分の仕事を笑顔で「やりたい!」といえるんだろうか?と、思うから。
やりたいという気持ちに逆らわないこと。それは自然に人と繋いでくれたり、自分の世界を広げたりしてくれる。私も信じたこと、やりたいことを思いっきりやって、好きな人と死のうっと。

東 知美

1976年大阪生まれ。同志社女子短期大学卒業後、大阪デザイン専門学校マルチメディア科1期生として就学。 WEBデザイナーとして制作会社勤務を経て、25歳でフリーランスのWEBデザイナーに。大阪・東京でWEBデザイン・ディレクションを手がけながら、 大阪のインキュベーション施設「ディーボックス」(現在は閉鎖)ほか、 Appleユーザー同士の地域交流グループ「AUGM」にて、多くのWEB・IT関係者と幅広い交流を深める。
2009年、WEB制作を主要事業とする株式会社トーモを設立。本業の傍ら、自身の父が代表を務める会社、ティ・アール・エイ株式会社の新規モバイルバッテリー事業において 一部製品の企画や営業、広報などを担当する。 2016年には自社ブランド「RAKUNI」を立ち上げ、“毎日の生活をかろやかに”の コンセプトのもと、物販事業を展開。主力商品のカードホルダー付きiPhoneケースは発売以来、完売した品番も多数。精力的に新作を発表し、現在に至る。